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ホーム > 高次脳機能障害支援 > よくあるご質問(小児編)

よくあるご質問(小児編)



Q1. 発達障害とはどう違うの?

A. 2004年2月高次脳機能障害の診断基準の発表後、2005年4月1日より発達障害者支援法が施行されています。発達障害者支援法での発達障害の定義は「自閉症、アスペルガー症候群などの広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」となっています。一方、厚生労働省の高次脳機能障害の診断基準では、脳が損傷した原因となる事故や病気の事実と脳の損傷が証明されなくてはなりません。これらの脳損傷が原因でひき起こされる症状により、日常生活や社会生活への適応に問題が生じることを高次脳機能障害といいます。両障害の違いは、発達障害は原因を特定せず、幼少期に発症し、症状重視であるのに対し、高次脳機能障害は発症原因を明確に規定していることです。小児期の両障害の違いや共通点などについては、今後の研究によって明らかにされていくことになるでしょう。

Q2. 高次脳機能障害はよくなるの、子どもでは大人と違うの?

A. 受傷・発症から2~3年は回復に向かい、臨床症状や検査結果に改善が見られますが、その後検査結果などに大きな変化は見られなくなります。しかし、日常生活で困る症状に対して、環境との関わり方を変え、適切な行動を可能にする代償スキルを獲得できれば、高次脳機能障害はよくなったということになります。代償スキルを獲得するには、まず自己の機能に関して現実的に受け入れ、健全に残っている能力を自覚し日常生活をこなす能力につなげることができればよいのですが、中学生あるいは高校生位にならないと難しい面もあります。このため、発達の頃合を見ながらその年齢にあった支援をしていくことが必要になります。また、記憶障害などのため二次的な学習障害に陥り、知的発達が追いついていかないような事態はできるだけ避けたいものです。まずは、学校生活に適応できるよう、家庭や学校などでの理解と援助(環境調整)が重要です。
このように子どもの場合には、発達の影響を受けること、学校生活に適応することが目標になることなど、大人と違った視点と支援が必要になります。

Q3. この子に合う学校ってあるの?

A. 特別な教育支援が必要なお子さんには、特別支援学級や特別支援学校があります。特別支援教育コーディネーターの先生に相談すると、現在の学級に在籍しながら、学習しやすい支援を一緒に考えてくれます。

Q4. 学校の先生に伝えた方がいいですか?

A. 発達障害については、法律の後押しもあって、学校では先生方の理解をえやすい状況です。高次脳機能障害についても理解してもらうことが重要ですので、どんな症状があるか、どんなことに困っているか、伝えましょう。お子さんは家族や学校の理解・援助を必要としています。家族だけで伝えることが難しければ、高次脳機能障害支援拠点機関のスタッフもお手伝いします。ご相談ください。

Q5. 障害者手帳はもらえるの?

A. 障害者手帳には、身体障害者手帳、療育手帳(知的障害児・者の手帳)、精神障害者保健福祉手帳があります。障害者手帳に該当するかどうか、またはどの手帳に該当するかは、一人一人異なりますので、お住まいの市町村窓口、または主治医・ソーシャルワーカーに相談してみてください。

こんなとき、どうしたらいい?

発動性低下

相談者

以前はもっと活発だったのに、いつもゴロゴロして何かしようという意欲が感じられないんです。いちいち言わないとダメなんです。

本人(小学4年)

何をやったらいいのかよくわからないんだ。でも言われたことはやっているじゃないか。
ベテラン母さんのアドバイス

「○○が終わったら食事に出かけましょう」など、楽しいことが後に控えていると頑張れるんですよね。なるべく目標になることを用意するようにしています。
職員のワンポイントアドバイス

その時々にこまめに声をかけることが必要な時期もあります。自分で気づいて次の行動を始めるのが難しくなっている場合は、タイマーや携帯電話のアラーム機能を使って、やるべきことに気づけるように練習してみてはどうでしょうか?

相談者

話が最後まで聞けないんです。周りがザワザワしていると特にそうです。どうしたら集中して聞けるようになるでしょうか?

本人(小学6年)

ぼくはちゃんと聞いてるよ。でも周りで音がするとそれが気になって仕方がないんだ。
ベテラン母さんのアドバイス

テレビがついていたり、兄弟が遊んでいるところで言い聞かせようとするとついそちらに気がそれてしまいます。落ち着いている時に話せばわかることが多いので、なるべく静かな場所で言い聞かせるようにしています。
職員のワンポイントアドバイス

本人がコントロールするのは難しいので、なるべく刺激の少ない場所で話をしましょう。またあれこれ説明しようとするとわからなくなって余計に聞けなくなりますので、要点をメモ書きにするなど伝え方を工夫してみることも必要です。また、集中しやすい環境を整えるという意味で「おもちゃ等の気になるものを側に置かない」というのも工夫のひとつです。

相談者

買い物に連れて行くと、お店で勝手に商品に触ってしまいます。目が離せなくて大変です。

本人(小学2年)

だって。欲しくなっちゃうんだもん。
ベテラン母さんのアドバイス

目についたものに手を伸ばしてしまうのは高次脳機能障害の症状だそうです。その場の状況を伝えて、今はそれに触るべきでないことを根気強く教えると、わかっていきますよ。
職員のワンポイントアドバイス

事前に「お店のものには触らない」と約束しても、見るとつい欲しくなって手が出てしまいがちです。本人も抑えられなくて困っています。頻繁に声をかけることで商品から注意を逸らしたり、手に取ってしまったらその都度元に戻すように教えましょう。

相談者

前はそんなことなかったのに、今は人前でも平気で母親の体にまとわりついてくるんです。いつまで続くのでしょうか?

本人(中学1年)

だって、お母さんのそばにいると安心なんだもん。
ベテラン母さんのアドバイス

うれしかったり、緊張が解けたりした時には、べたべたとまとわりついてくることがありました。そんな時は受け入れてきましたが、ふだんは「もう○年生なんだから」と言い聞かせてきました。
学校の先生の対応

そばに誰かいないと不安そうだと感じたら、落ち着いて学習できるように、担任の机付近で課題や本読みをしてもらう工夫をしました。
職員のワンポイントアドバイス

スキンシップを取るなど、ある程度は許容してもいいかもしれません。ただ、お尻を触るなどの社会的に問題となるような場合には、年齢相応の行動を促していきましょう。手遊び歌や腕相撲など、肯定的なスキンシップに変えていかれると良いですね!女の子だったら、朝、髪を結ってあげるなんてこともよいですよ。

相談者

自分のことなのに人任せで、誰かがやってくれるだろうと思って甘えてるでしょ。

本人(高校3年)

それって、僕がやるべきことなの?ピンとこないんだ。
ベテラン母さんのアドバイス

「自分でしなさい」といくら言ってもダメでした。一緒にできることを増やしていったら、いつの間にか自分でできるようになりました。
学校の先生の対応

慣れないことは手順を決めてあげて、繰り返し経験を積んでもらっています。作業の見本を置いたり、他の生徒のやり方を見たり、手順を書いたカードを作ったり、声かけしたり。くり返すと自主的にできるようになりました。「第一ステージクリア!」「○○ポイントゲット!」など、その時に子どもが反応する言葉を用いるとよいですよ。
職員のワンポイントアドバイス

どうしたらよいかがよくわからないから、信頼できる人に頼ることがあるんですよね。そこから出発してステップを踏んで練習し、一人でやれることを増やして、自信をつけていかれるといいですね。

感情コントロール

相談者

マナーの悪い人をみると明らかにムッとした顔で言ってしまうんです。ケンカにならないかハラハラします。

本人(高校2年)

悪いことを悪いって言っただけじゃないか!
ベテラン母さんのアドバイス

落ち着ける場所に移って、余計に刺激しないようにして、おさまるまで待ちました。
学校の先生の対応

本人の言い分をじっくり聞いたあとで、落ち着いたら、「それは適切な言葉づかいではなかったね。」と伝えました。
職員のワンポイントアドバイス

カーッとしたら、とっさに言ってしまったりやってしまったりすることがあります。その場で言い分を聞いてもらえる存在が必要です。本人の気持ちを受け止めた上で、どうしたらよいかを話していきましょう。

疲れやすさ

相談者

授業中にあくびをしていることが多いと学校の先生に言われます。特に午後の授業が多いみたいです。…怠けているんでしょうか?

本人

え?怠けてなんかいないよ。
ベテラン母さんのアドバイス

「疲れているようだから少し休憩したら?」と言われても、本人は疲れたという自覚がなかったんです。家に帰ってバタッと倒れるように眠るとなかなか起きられず、起こすとものすごく機嫌が悪い、といったことが続きました。あくびが頻発するなど、先生から見て疲れているようだったら、休憩を取る合図をしてもらいました。そして、保健室でお水を飲むなどぼんやり過ごす時間を取るようにしてもらいました。
職員のワンポイントアドバイス

あくびが出るのは、脳が疲労してしまっているからです。まだ脳の体力が回復しきれていないのかもしれません。疲労していることに本人も気がつかないことも多いのです。

相談者

色々と話してくれるのですが、事情を知らないと何が言いたいのかよくわからなくて…。

本人

いっしょうけんめい話しているんだけど、よくわからないって言われちゃうんだ。
ベテラン母さんのアドバイス

まず、話をじっくり聴いてあげて慌てさせないようにしています。話題が推測できたら、話しやすいように声かけをします。
学校の先生の対応

「はい」「いいえ」で答えられる質問をして確認したり、「〇〇?」「△△?」など選択肢を挙げて選んで答えてもらっています。
職員のワンポイントアドバイス

本人にもわかりやすくなるように、「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「どうした」「なぜ?」などを質問し、より詳しく伝えられるように引き出してあげましょう。

繰り返される確認行動

相談者

「今日、何日?」とか「次、何するの?」「次、どこ行くの?」など同じ質問を何度も聞いてきます。さっき答えたばかりですし、本人に聞いてもだいたい合っているのですが。

本人(小学5年)

誰かにこたえてもらわないと、なんとなく不安なの。
ベテラン母さんのアドバイス

私は、スケジュール表を作って、決まった時間にそれを一緒に見て確認するようにしました。最初は、聞かれるたびに一緒に確認していましたが、だんだん1人でスケジュールを見て、次の行動が確認できるようになりました。
職員のワンポイントアドバイス

高学年になり、いろいろやるべき事が増えてくると、「これでいいのかな?」と不安になりがちです。そこで周りの人たちに確認して安心しているのだと思います。「他の人に言ってもらう」だけでなく、スケジュール表・手帳・スマートフォンなどを使って、「自分で見て」確認するということを習慣づけると良いでしょう。

態度・表情

相談者

自分の思い通りにならないと、すぐにむっとしてなかなか気持ちがおさまらないんです。

本人(中学1年)

むかつくんだからしょうがないよ。でもそんな顔してる?
ベテラン母さんのアドバイス

不快に感じたらとにかく眼を閉じて頭の中で30 数えるというルールにしています。でも、ムッとしていることが自覚できない時が多いので、その都度こちらから「おまじない、30数えるんだったよね」と言って、声をかけました。
職員のワンポイントアドバイス

その場から離れて気分を変えられるといいですね。でも、自分でそういった対処をすることは難しいものです。誰かが声かけをしてあげることが大事ですね。すぐに離れられない時には、「水を飲む」「眼を閉じて数を数える」「深呼吸をする」などの気分を落ち着ける方法を本人と一緒に決めて、普段から練習しておくと良いです。

相談者

街中でも素敵な女の人を見かけると、かけよって声をかけたり、身体に触れたり、性的な質問をしたり……。痴漢だと思われるのではないか、心配です。

本人(高校3年)

だって、素敵だったんだもん。
ベテラン母さんのアドバイス

学校の先生や看護師さんから、「やってはいけないこと、恥ずかしいこと」として、本人に話しをしてもらいました。
職員のワンポイントアドバイス

性に関する衝動のコントロールは、とても難しい問題です。大人としての行動や責任、社会の規範を根気よく教え導くことが基本になります。相談しにくいデリケートな内容とは思いますが、病院のスタッフや学校の先生などに相談してください。

道に迷うこと

相談者

学校の登下校の時に時々迷子になるんです。

本人(小学4年)

よそ見をして間違えて違う角を曲がっちゃったり、友達の家に寄ったりすると時々帰り道がわからなくなっちゃうの。
ベテラン母さんのアドバイス

事情を話して特別に携帯を持たせてもらっています。GPS 機能が付いた携帯を活用して、本人の居場所を確認しています。
学校の先生の対応

事情を話してもらえば、携帯電話を持たせることは可能です。ただし、学校にいる間は携帯を預かります。
職員のワンポイントアドバイス

友だちの家に立ち寄った場合は、帰り道は、分かるところまで友だちに連れて行ってもらうようにご本人へ伝えてみてはいかがでしょうか。また、迷ったらすぐに電話をするようにも伝えてみましょう。

道路の飛び出し

相談者

外出中に突然道路に飛び出してしまうことがあります。事故に遭わないか心配です。

本人(小学1年)

そんなことしたっけ?よく覚えてないなぁ。
ベテラン母さんのアドバイス

危ない場所では一人で行かないように話し、合図をしたら渡っていいというルールを作りました。
職員のワンポイントアドバイス

遊びながら、またはぼんやりしながら歩いている時に面白い物が目に入ると、周囲の危険が見えずとっさに動いてしまいがちです。「気をつけて」と言われても何に気をつけたらいいかわかりにくいので、「前を見て。車が来ているから危ないよ」など、具体的に注意を促す必要があります。

安全確認(道路横断)

相談者

学校に行くためには横断歩道がない道を一人で渡らなくてはなりません。また事故に遭うのではないかと心配です。

本人(中学1年)

信号がないと渡るタイミングがつかめないよ。
ベテラン母さんのアドバイス

  • 時間がかかっても交通量の少ない別のルートを探しました。そして何回か一緒に体験してみました。
  • 少し遠回りですが、信号のある道路を通るように徹底して教えています。

相談者

朝、ひとりでは起きられないんですよ。目覚ましが鳴っても起きないんです。どうしたらいいでしょう?

本人(小学2年)

起きようとは思うんだけど、体が動かないんだ。
ベテラン母さんのアドバイス

しっかり目覚めるまでには時間がかかるみたいですよ。早めに声をかけて起こしています。あと、カーテンを開けて、部屋を明るくします。布団から顔を出させて、光を浴びるようにしています。
職員のワンポイントアドバイス

例えば、学校から帰ってきたら、昼寝をして疲れを取る工夫をするといいですよ。
受傷・発症してから3年くらい経つと自分で起きられるお子さんが増えるようです。

相談者

部屋中を散らかしっぱなしなんです。どうしたら片付けられるのでしょうか?

本人(小学4年)

片付けようと思うんだけど、どこからやればいいのかわからないの。
ベテラン母さんのアドバイス

一緒に話し合いながら片付けてみました。「いるもの」と「いらないもの」に分けて、「いらないもの」は捨てました。物が少なくなって、自分で片付けられるようになりました。
学校の先生の対応

「これはロッカー」「これはカゴに入れる」と確認しながら一緒に片付けた後、他に「先生が手伝うことはありますか?」と声かけをしています。
職員のワンポイントアドバイス

何をどこに片付けるかを自分で考えることが苦手になっているかもしれません。
片付ける場所を具体的に決めると良いですよ。

大切な物の管理

相談者

自転車の鍵をどこにやったかわからなくなってしまうんです。どうしたらなくさないようになりますか ?

本人(小学5年)

気を付けているんだけど、いつの間にかなくなっちゃうんだ。どうしてかなあ?
ベテラン母さんのアドバイス

私が置き場所を決めて、必ず「自転車の鍵置いた?」と確認して促していました。そのうち自分で置くようになって、うっかり他の場所に置くと慌てて戻すようになりました。
学校の先生の対応

学校では「鞄はここに置く」と決めたら鞄は自分で管理できるようになりました。
職員のワンポイントアドバイス

持っていたものを意識しないで手放してしまうために、どこに置いたか忘れてしまいがちです。大切なものはいつも同じ場所に置く習慣にすることで、管理できるようになります。家の鍵など特に大切なものは、首から紐で提げるなど体から離れないようにしておきましょう。

スケジュール管理

相談者

次の日の学校の準備は毎日言わないとできません。ずっとこうなのかしら…。

本人(小学3年)

いつやればいいのかわからないんだよ。
職員のワンポイントアドバイス

本人が見てわかりやすい表などをつくり、いつも決まったタイミングで声かけをしてみて下さい。やがて、日課として定着していけば、時間がかかっても自分でできるようになります。時間割は本人が理解しやすいものを用意しましょう。千葉リハセンターで使っている物を紹介します。参考にしてみてください。

問題解決能力

相談者

忘れ物をしたり、困った事態になると、自分で対応できないんです。

本人

どうしたらいいかわからなくて、頭が真っ白になるんだ。
ベテラン母さんのアドバイス

叱っても混乱するだけなんですよね。
落ち着いてからやり方を教えています。
自分で対処できたところは褒めています。
職員のワンポイントアドバイス

混乱しやすいこと、苦手そうなことは、まずは一緒にやってみたり、そばで声をかけて励ましてみましょう。それを少しずつ減らしていき、自分の力でできるようにしていきましょう。混乱することを減らして、自信をつけることが大切です。

授業内容の理解

相談者

学校の勉強についていけなくて…。

本人

聞いてはいるんだけど。何のことか、よくわからないんだよ。
学校の先生の対応

「おもしろい!」「わかる!」と思えると、集中もできて記憶に残りやすいようです。興味を持てるような工夫をしています。
職員のワンポイントアドバイス

前もって教科書を読んでおくなど予習をすることが大切です。知っていると安心し、授業を聞いて理解しようとする気になるようです。自信をつけていけるようにしましょう。

学習の定着

相談者

授業には参加しているし、勉強しようとしていますが学習が積み重ならないんです。

本人

授業中には「わかった」と思うんだけどな…。
ベテラン母さんのアドバイス

  • その日やったことを宿題に出してもらい、家で一緒に復習して確認をしています。(小学校低学年)
  • 親と一緒にやるのは嫌がるので、学校で補習をしてもらったり、個別学習の塾に通っています。(小学校高学年)
職員のワンポイントアドバイス

本人の得意な力を生かして学習しましょう。例えば漢字の学習では、見ることが苦手なお子さんは、部分に分解して構成要素を正しく捉え、唱え歌のように憶えていく方法が良いと思います(例:男=田+力、「男は田んぼで力しごと」)。